The VISION トップの描く未来図

桂由美

桂由美

[ 好きを仕事にする幸せ ]

略歴

1932年生まれ、東京都出身。共立女子大学卒業後、留学のためにフランスへ。幼い頃からおとぎ話に憧れていたことから、ウェディングドレスに興味を持ち、ブライダルについて勉強し始める。64年、日本で初めてとなるブライダル専門店をオープン。69年には全日本ブライダル協会を設立し、東洋人として初めてイタリアファッション協会の正会員となる。2005年には、パリ・カンボン通りのシャネル本店前にパル店をオープンさせた。

現在の仕事についた経緯は?

小さい頃は、おとぎ話が大好きでした。周りからは「あなたの絵本で家が潰れてしまう」と言われるほど。今でも「万年少女」と言われるのは、そのせいでしょうね。しかし、日本が戦争に差し掛かると、憧れのおとぎ話の世界とは全く逆の世界になってしまいました。中学に上がった頃には、勉強などろくにさせてもらえない時代へ。現実世界が辛い分、心の中にはいつもお城があるおとぎの国を思い描き、寝ながら夢を見る時間が一番大好きでした。母は洋裁の学校を営んでおり、家業を継ぐことを勧められましたが、わたしは洋裁があまり得意ではなかったので、興味の持てた演劇に没頭していきました。当時所属していた劇団のリーダーは、芥川龍之介さんのご子息である芥川比呂志さんでした。尊敬する彼に言われた一言が私を服飾の道へと導きます。「新劇には知性が必要である。大学でしっかりと勉強しなさい」そう言われた私が服飾の勉強をしていくうちに、決して洋裁ができなくてもファッションにまつわる職はあるのだということに気づかさレます。世の中のためになる喜びを感じたいと演劇の世界に身を置きましたが、それはファッションの世界でもできると実感し、突き進んでいくことを決意しました。映画や本でしか見たことのない海外のファッションの実物に触れたいと、パリに留学。言われのない差別を感じることも、屈辱感に打ちひしがれることもありましたが、この業界で世界基準になってやろうと心に熱い想いを燃やしていました。

仕事へのこだわり

当時の日本では、ほとんどの結婚式が着物でした。そのため、ウェディングドレスを作ろうなんてデザイナーはあまりいなかったんです。それでも、おとぎ話が大好きだった私は、ウェディングドレスに没頭していきました。「好き」だということが、ここまで私を大きくさせ、さらに長続きさせた理由だと思っています。神様が与えた天職ですね。だからこそ、絶対にこの道を行くのだという強い思いを持ち続けてきたことが、私を今日の姿に至らせていると思っています。

若者へのメッセージ

男性も女性も、性別に関わらず若い人たちが多種多様な可能性を広げながら、社会の中で活躍をする時代になりました。でも、「幸せ」という目線においては、仕事に成功することだけが人間の幸せではないと思っています。将来を共に歩みたいと思える素敵な人を見つけ、愛情に溢れた結婚生活を送り、次の世代へと受け継いでいってほしいと、ウェディングドレスデザイナーとしては願っているのです。