The VISION トップの描く未来図

黒川尚悟
日本ロジステック株式会社 代表取締役社長

黒川尚悟

[ the line between disorder and order lies in logistics ]

略歴

1973年生まれ。1995年、早稲田大学商学部卒業。新卒であさひ銀行入行。2005年、英クランフィールド大学修士課程修了。同年、日本ロジステック入社。2013年、同社代表取締役社長就任し、現在に至る。

現在の仕事についた経緯は?

日本ロジステックは祖父が創業した会社です。私は3代目社長です。昔から社業を引き継ぐことを意識していました。大学を卒業してまず就職した銀行では金融危機を経験し、世の中の厳しさを学びました。そして日本ロジステックに入社する前に留学しています。留学というと華やかなイメージがありますが、私の場合は暗黒の時代でした。英語で苦労し、最終学歴の修了証書を貰うまでは暗中模索でした。最終的に、イギリスのクランフィールド大学でMSc in Logistics and Supply Chain Managementという学位を修了しました。大学院では後半の半年は授業がなく、論文を書いていました。ほとんどの学生はカンパニーベースといって、イギリス国内や欧州各地に散らばり、企業のオフィスに通って、与えられた課題について論文を仕上げます。私は少数派で、人気のないリサーチベースで、キャンパスにこもって論文を書いていました。私に与えられた課題はwarehouse designのためにExpart systemsを開発できるか調査せよといったものでした。偶然に与えられたお題でしたが、これが今の仕事に直結することになります。倉庫業務を設計する際に考えるべきことを徹底的にリサーチすることになったのです。

仕事へのこだわり

倉庫業務のデザインは現在の仕事に直結しています。弊社は倉庫事業を中心とした物流会社です。倉庫の中でやることはたくさんあります。よい倉庫の現場というのは活気があり、明るく、清潔で、足を踏み入れるとワクワクする場所です。そして常に最善、最適な倉庫業務をデザインするために試行錯誤を繰り返しています。この「倉庫/業務のデザインを極める」というのが私の第一の仕事へのこだわりです。そのためには多くの業務経験が必要です。実際に業務を行うことで得られるノウハウ・知見がとても大事だからです。

私は前段の通り論文のために倉庫業務についてリサーチをして、完全な理解には及ばないまでもひと通りの倉庫業務の概念に触れたと思っていました。ところが日本ロジステックに入社してまだ間もない頃です。あるお客様で今までやってきた業務のやり方を大きく見直すプロジェクトが進行していました。そして新しい倉庫レイアウトの中にダイナミックエリアという聞き慣れない言葉がありました。その言葉を初めて書籍で確認したのは随分あとに出版された書籍の中でした。多くの新しいノウハウや知見はまず現場でつくられるのだと思います。それが明文化されるのはその後です。そんなノウハウや知見を大事にしたいと考えています。そして新しいノウハウや知見を自社の現場からも生み出したいとも思うのです。

弊社は倉庫事業としては倉庫開発から、賃貸事業や倉庫/物流業務まで行います。倉庫/物流業務は3PLと呼ばれることもあります。国際部では通関や海外物流の事業拡大に邁進しています。それぞれの事業に思いやこだわりがあります。そんなこだわりも別な機会に話せれば幸いです。

若者へのメッセージ

物流・ロジスティクスはやりがいもあって、チャンスもたくさんある仕事だと思います。もっと大きな概念にサプライチェーンがあります。サプライチェーンマネジメント(SCM)は主に欧米で研究され、発展しましたが、もともとは1980年代にジャパンアズナンバーワンと言われていた頃、カンバンや生産システムといった日系メーカーが持つ強みを米国で研究するところから始まったと言われています。そんなサプライチェーンの一部である物流を日本で仕事にするということには大きな意義があるのではと期待しています。「the line between disorder and order lies in logistics」というのは孫子の兵法に書かれていることだと英語圏では理解されています。ロジスティクスというのは元々、兵站という意味の軍事用語です。古来の中国でも、欧米でも、そして日本でもロジスティクスの重要性は認識されていたはずです。そして時にはロジスティクスが戦いの勝敗をも左右してきたのです。物流業は「ライフライン(命綱)」であり、「テクノロジーの最先端」であり、「国際化の最前線」であると言われています。そして物流現場には課題がたくさんあります。そこにはビジネスチャンスもたくさん埋もれているはずです。一人でも多くの学生さんが物流業に関心を持って、物流業に携わってくれることを願っています。人材がいなければ物流業の発展もあり得ないからです。そして多くの方がこの業界で活躍されることを願っています。