The VISION トップの描く未来図

澤口 俊之
脳科学者

澤口 俊之

[ 汝の道を歩め。人々をしてその言うに任せよ。 ]

略歴

京都大学理学研究科博士課程、日本学術振興会特別研究員、米国エール(Yale)大学医学部研究員、京都大学霊長類研究所助手などを経て、1999年に北海道大学医学研究科教授に就任。2006年に同職を自主退職してから人間性脳科学研究所(HNI)の所長に就任。

現在の仕事についた経緯は?

私の原点は、10代の頃に浴室の鏡で自分の姿を眺めながら「自分とは一体何なのだろうか」という疑問に取りつかれたことでした。自分とは、そして自分を生んだ宇宙とは何なのか。宇宙の137億年の歴史の中でなぜ自分が今ここにいて意識を持っているのか。そもそも意識とは何なのか。死んだら意識は本当になくなるのか。そんなことを延々と考え続けました。答えがわからないまま死んでくのはあまりにも悔しいと思ったんですよね。
この謎を解くべく、高校時代は哲学書を読み漁りました。当時の私はいわゆる不良で、態度が悪く生意気だったのでほとんどの教師に見捨てられていたのですが、一人だけ私を理解してくれる先生がいて「本気で哲学を勉強したいなら頑張れ」と励ましてくださったんです。落ちこぼれから這い上がって大学へ行けたのはその先生のおかげです。
大学院への進学を目指している時は「受かるわけがない」と周りに言われたのが悔しくて猛勉強しました。就職する道もありましたが、その可能性を自ら捨てることで「自分には研究者の道しかないのだ」という思いを強くしていきました。勉強に打ち込む時、悔しさや反発心は大きなモチベーションになりましたね。

仕事へのこだわり

人生において私のしたいことは、早くから分かっていました。それは、いい家に住むことでもいい服を着ることでもなく、「分かりたい」ということ。ただそれだけでした。自分が疑問に思うことを解明するために一生を捧げてもいいと思ったんです。勉強以外の時間はもったいなく感じられました。
私だけではなく研究者はみんな「分かりたい」という強い欲求を持って日々研究に取り組んでいます。研究を突き詰めて一番にならなければ、意味がありません。学生や若い研究者にはいつも「自分が一生かけて分かりたいことは何なのか」と問うています。そこから独創性が生まれますし、一生かけて突き詰めていけば必ずその分野でトップになれるはずです。

若者へのメッセージ

自分だけの目標がありますか。目標を決めたからには、ブレてはいけません。必ずそこへ向かう覚悟が必要です。他の選択肢を捨てて退路を断つことで、ブレることなく突き進むことができると思います。
人生は一度きりで、宇宙の歴史から見たら微々たるものです。自分だけができることや探求したいことを見つけて、その分野で一番になることを目指してください。

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