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事業承継の税金を徹底解説|税制の仕組み・条件・節税策と手続きの流れ

わくてか / 更新:2026-07-04
事業承継の税金を徹底解説|税制の仕組み・条件・節税策と手続きの流れ
「事業を子どもに継がせたいけど、株の税金でいくら持っていかれるのか怖い」——事業承継で一番の関門は、実は税金です。結論を先に言うと、自社株にかかる贈与税・相続税は、事業承継税制を使えば猶予・免除できます。ただし打ち切りリスクもあるので、使うかどうかは慎重に見極めるべきです。
  • 事業承継でかかる主な税金は、自社株を渡すときの贈与税と、相続で受け継ぐときの相続税の2つです。
  • 事業承継税制を使うと、自社株にかかる贈与税・相続税の納税が猶予され、条件を満たし続ければ最終的に免除されます。
  • 特例措置を使うには、2026年3月31日までに特例承継計画を都道府県へ提出する必要があります。
  • 納税猶予は条件を外すと打ち切られ、猶予税額に加えて利子税まで払うリスクがあります。
  • 事業承継税制を使わず、生前贈与や株価引き下げで対応する道もあり、比較して選ぶべきです。

事業承継にかかる税金とは?まず押さえる全体像

新事業承継税制の特例措置を日本一わかりやすく解説【期限延長決定】デメリットも!
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事業承継でかかる税金は、自社株や事業用資産を「渡すとき」の贈与税と、「相続で受け継ぐとき」の相続税が中心です。

私自身、個人事業主から法人化して自社株を持つ身になって痛感したのは、業績のいい会社ほど株の評価額が膨らみ、承継時の税負担が重くなるという現実です。ここは早めに知っておいて損はありません。

事業承継とは後継者に事業を引き継ぐこと

事業承継とは、経営者が後継者に会社や事業を引き継ぐことです。

引き継ぐ相手は、大きく3つに分かれます。子どもなどの親族、社内の役員・従業員、そして第三者へのM&Aです。

どの相手でも、株式(会社の所有権)が動くと税金が発生します。ここで言う税金の主役が贈与税と相続税です。

贈与税の仕組みと税率

贈与税とは、財産をタダでもらった人が納める税金です。

生前に社長が後継者へ株を渡すと、もらった側に贈与税がかかります。1年間にもらった財産から110万円の基礎控除を引いた額に、税率をかけて計算します。

親子など直系尊属から18歳以上の子・孫がもらう場合は「特例贈与財産」として、下の税率が使えます。

贈与税の速算表(特例贈与財産・暦年課税)
基礎控除110万円を引いた後の課税価格に対する税率。出典:国税庁
課税価格(控除後)税率控除額
200万円以下10%0円
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

相続税の仕組みと税率

相続税とは、亡くなった人(被相続人)から財産を受け継いだ人が納める税金です。

社長が急に亡くなり、株が後継者に渡ると相続税がかかります。相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があり、これを超えた部分に課税されます。

相続税の速算表
各相続人の取得金額(基礎控除後)に対する税率。出典:国税庁
取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

事業承継で税金が重くなる理由

事業承継の税金が重くなる最大の理由は、非上場の自社株が「思ったより高く評価される」からです。

上場していない会社の株は市場価格がないため、利益や純資産をもとに評価額を計算します。黒字を積み上げてきた優良企業ほど、この評価額が跳ね上がります。

しかも自社株は現金と違って売って現金化しにくい。手元にキャッシュがないのに、株の評価額に応じた税金だけが請求される。ここが事業承継の税金が「詰む」ポイントです。

自社株は換金しにくいのに評価額は高くなりがち。納税資金をどう用意するかを、株を渡す前に考えておく必要があります。

事業承継税制とは?納税猶予・免除を受けられる制度

事業承継税制とは、後継者が受け継いだ自社株にかかる贈与税・相続税の納税を猶予し、最終的に免除する制度です。

事業承継税制とは?納税猶予・免除を受けられる制度

重い株の税金に対する、国の救済策と考えると分かりやすい。ただしタダで使えるわけではなく、細かい条件を守り続けることが前提です。

事業承継税制の仕組み

仕組みはシンプルです。後継者が自社株を受け継いだとき、その株にかかる税金の支払いをいったん止める(猶予する)。

そのまま後継者が経営を続け、次の代へ株を渡す、あるいは先代が亡くなるといった一定の要件を満たせば、猶予されていた税金がそのまま免除されます。

特例措置なら、対象となる株式の全株について贈与税・相続税の100%が猶予されます。要は、条件さえ守れば自社株の税金がゼロになる可能性があるということです。

事業承継税制が設けられた理由

この制度がある理由は、税金が原因で優良な中小企業が廃業するのを防ぐためです。

後継者はいるのに、株の税金が払えず会社をたたむ。あるいは納税のために事業用資産を切り売りする。それでは雇用も技術も失われます。

中小企業の円滑な世代交代を後押しするために作られたのが、この事業承継税制です。特例措置は期間限定で大幅に使いやすくなっています。

一般措置と特例措置の違いと申請期限

事業承継税制には「一般措置」と「特例措置」があり、猶予割合も条件も特例措置のほうが有利です。

ただし特例措置は期間限定。特例承継計画を都道府県に提出する期限が決まっています。この計画を出していないと、そもそも特例措置は使えません。

一般措置と特例措置の違い
出典:中小企業庁
項目一般措置特例措置
対象株式発行済議決権株式の3分の2まで全株式
納税猶予割合(相続)80%100%
納税猶予割合(贈与)100%100%
特例承継計画の提出不要2026年3月31日までに提出が必要
適用期限(贈与・相続)なし2027年12月31日まで
特例措置を使いたいなら、特例承継計画の提出期限「2026年3月31日」が最重要デッドライン。ここを過ぎると一般措置しか選べません。

事業承継税制を利用するメリット・デメリット

最大のメリットは自社株の税金がゼロにできる点、最大のデメリットは打ち切り時に利子税まで背負うリスクです。

事業承継税制を利用するメリット・デメリット

正直に言うと、この制度はメリットとデメリットが対称ではありません。得られる金額は大きいけれど、その分「縛り」も長く続きます。

納税猶予・免除で得られるメリット

一番のメリットは、本来なら数千万円単位でかかる自社株の贈与税・相続税を、支払わずに済ませられることです。

特例措置なら100%猶予されるので、後継者は納税資金を用意できずに困る事態を避けられます。株を渡すハードルが一気に下がる。

承継後、要件を満たし続けて先代が亡くなるなどの条件が整えば、猶予された税額はそのまま免除。払わずに終わります。

打ち切りリスクと利子税などのデメリット

デメリットは、条件を外した瞬間に猶予が打ち切られ、猶予されていた税額に利子税を上乗せして一括で払わなければならない点です。

例えば後継者が代表を辞めた、株を売った、会社の雇用を大きく減らした——こうしたケースで打ち切りが起こり得ます。

しかも猶予期間が長いほど利子税は積み上がります。承継のときは払わずに済んだのに、数年後に本税+利子税でまとめて請求される。これが一番怖い。

加えて、毎年・数年ごとの届出を延々と続ける管理負担もあります。私の感覚では、この制度は「使えばラク」ではなく「使い続ける覚悟が要る」ものです。

事業承継税制は税金を消す魔法ではなく、長期にわたる条件付きの猶予。途中でやめられない前提で判断すべきです。

事業承継税制を活用するための条件と手続きの流れ

【今がチャンス】会社を引き継ぐときに相続税・贈与税がゼロになる事業承継税制とは?
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事業承継税制を使うには、先代経営者・後継者・会社の3者がそれぞれ条件を満たし、承継後もその条件を守り続ける必要があります。

条件は細かいので、代表的なものを整理します。ひとつでも外すと適用が受けられない、あるいは打ち切りになるため、専門家との確認は必須です。

先代経営者・後継者・会社が満たすべき条件

事業承継税制の主な適用条件
特例措置の場合の代表的な要件。出典:国税庁
対象主な条件
先代経営者会社の代表者だったこと/贈与や相続の直前に議決権の過半数を保有し、同族内で筆頭株主だったこと(贈与では代表を退任すること)
後継者贈与・相続後に会社の代表者になること/同族関係者と合わせて議決権の過半数を持ち、その中で筆頭株主になること
会社中小企業者であること/上場会社・風俗営業会社などでないこと/資産管理会社に一定要件で該当しないこと

承継後に守り続ける条件

承継したら終わりではありません。猶予を続けるには、後継者が代表を続け、対象株式を持ち続けることが基本です。

申告期限の翌日から5年間は「経営承継期間」と呼ばれ、毎年、都道府県への年次報告と税務署への継続届出が必要です。5年経過後も3年ごとに届出が続きます。

この届出を1回でも出し忘れると、それだけで猶予が打ち切られることがあります。地味ですが、ここが実務で一番ミスが起きやすいポイントです。

相続税のケースの流れ

相続でこの制度を使う場合、先代の死亡後に慌てて動くことになります。

  1. 相続発生後、後継者が会社の代表に就任する。
  2. 相続開始から8か月以内に都道府県へ円滑化法の認定を申請する。
  3. 相続開始を知った日の翌日から10か月以内に相続税を申告し、担保を提供する。
  4. 申告期限後5年間は年次報告・継続届出を続ける。

贈与税のケースの流れ

贈与のケースは、生前に計画的に進められるのが強みです。

  1. 特例措置なら、まず特例承継計画を2026年3月31日までに都道府県へ提出する。
  2. 先代が代表を退任し、後継者へ株式を贈与する。
  3. 贈与年の翌年1月15日までに都道府県へ認定を申請する。
  4. 贈与を受けた翌年3月15日までに贈与税を申告し、担保を提供する。
贈与か相続かで期限がまったく違います。生前に動ける贈与のほうが、計画的に進められる分だけ失敗が少ないと私は考えています。

事業承継税制を使わない場合の代替節税策との比較

事業承継税制を使わなくても、生前贈与・持株会社化・株価引き下げといった方法で税負担を抑える道があります。

事業承継税制を使わない場合の代替節税策との比較

正直、縛りの重さを考えると「税制を使わずに株価そのものを下げてから渡す」ほうが自社に合うケースも多いと感じます。比較して選ぶべきです。

生前贈与・相続時精算課税制度の活用

生前贈与は、毎年110万円の基礎控除を使って株を少しずつ渡す方法です。

時間をかければ無税で移せますが、株数が多いと何十年もかかる。そこで使われるのが相続時精算課税制度です。

相続時精算課税は、累計2,500万円まで贈与税をかけずに渡し、相続時にまとめて精算する仕組み。2024年からは年110万円の基礎控除も別枠で使えるようになりました。株価が今後上がる見込みなら、低い今のうちに渡してしまう戦略が取れます。

持株会社化・種類株式の活用

持株会社(ホールディングス)を作り、その会社に事業会社の株を持たせる方法もあります。

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わくてか

株式会社CIVIQ 代表 ・ 個人事業主から法人化・役員報酬設計・節税を実践
運営者本人(法人化・節税を実践する経営者)

株式会社CIVIQ代表。個人事業主から法人化し、役員報酬の設計・節税・決算・社会保険を自分で回している経営者。税理士の資格を持つわけではないが、経営者として実際に判断してきた一次情報を書く。税務の最終判断は必ず顧問税理士に確認する前提で、『いくらから・どのタイミングで・どれだけ手取りが変わるか』を実体験ベースで整理する。

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